「時間外労働等改善助成金」は、中小企業・小規模事業者が時間外労働の上限規制等に円滑に対応するため、生産性を高めながら労働時間の短縮等に取り組む事業主に対して助成するものであり、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的としています。
この助成金は、次の5つのコースに分けられます。
- 時間外労働等上限設定コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 職場意識改善コース
- 団体推進コース
- テレワークコース
この中で、今回は「時間外労働等上限設定コース」についてご説明します。
この助成金は、「労働基準法第36条で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」による限度時間を超える内容の時間外・休日労働に関する協定(いわゆる特別条項付き36協定)を締結している中小企業事業主が延長した労働時間数を短縮して、限度基準以内の上限設定を行う場合に支給される助成金です。
「事業実施計画」において指定したすべての事業場において、36協定によって延長した労働時間数を短縮して、限度基準以下の上限設定を行うことが成果目標(受給要件)となります。
ここで、「限度基準」とは、
- 時間外労働時間数で月45時間以下かつ1年360時間
- 休日労働時間数を含めた時間外労働時間数が月80時間または月60時間以下かつ年720時間以下
のいずれかになります。
助成金の支給対象となる以下の取組(いずれか一つ以上)を実施して、成果目標を達成した場合に、要した経費の合計額の4分の3が支給されます。
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労務管理担当者に対する研修
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労働者に対する研修、周知・啓発
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外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
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就業規則・労使協定等の作成・変更(時間外・休日労働に関する規定の 整備など)
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人材確保に向けた取組
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労務管理用ソフトウェアの導入・更新
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労務管理用機器の導入・更新
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デジタル式運行記録計(デジタコ)の導入・更新
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テレワーク用通信機器の導入・更新
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労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新(小売業のPOS装置、飲食店の自動食器洗い乾燥機など)
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
これらの取組を行った場合に要した、謝金、旅費、借損料、会議費、雑役務費、印刷製本費、備品費、機械装置等購入費、委託費などが助成金の対象となります。
ただし、助成金には上限額があり、それは限度基準の達成度によって異なります。
(50〜150万円)
この助成金を受給するためのポイントは、「時間外労働等改善助成金交付申請書」を「事業実施計画書」などの必要書類とともに、事前に都道府県労働局に提出して承認を受けることです。
ただし、他の助成金とは異なり、この助成金には締切日(平成30年度は12月3日)がありますので注意をして下さい。また、締切日以前に予算が消化された場合には受付が終了する場合もあります。なお、取組を行って成果目標を達成した場合の支給申請は2月末が締切となりますので、こちらにも注意をして下さい。
厚生労働省の該当ページはこちら↓
労働基準法が70年振りに大改正されることを受けて、企業においては労働時間の改善が求められるようになります。
ぜひ、この助成金を活用して「労働時間の改善」に取り組んでみてはいかがでしょうか。
(情報公開日:2018-9-18)
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※上記は、公開日(情報更新日)時点での法令・行政情報等に基づく内容となっております。