正社員と非正規社員の賃金格差が大きいことは、社会的にも大きな問題になっています。
同じ仕事をしていても、「パート社員だから」ということだけを理由に賃金が不当に低い場合には労働契約法やパートタイム労働法で定めるところの、いわゆる「同一労働同一賃金」に違反するからです。
また、「職種が異なる場合であっても労働の質が同等であれば同一の賃金水準を適用するべきだ」という考え方は、国際労働機構(ILO)によっても支持しています。
そのため「同一労働同一賃金」の実現は、政府が進めている「働き方改革」における重要施策の一つとして位置づけられています。
「キャリアアップ助成金(賃金規程等改定コース)」は、パート社員や契約社員などの「非正規労働者の処遇改善」の取組を実施した事業主に対して支給される助成金です。
非正規社員の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給させた場合に対象となります。
支給額は対象労働者の人数によって異なりますが、1人あたり概ね3万円前後です。たとえば、対象社員が7〜10名の場合は、28万5,000円(生産性要件を満たすと36万円)が支給されます。
この助成金を受給するためのポイントは、賃金規定等を作成して、その規定に基づいて2%以上の賃上げを実施することです。
対象となるすべて労働者の賃金が2%以上アップしていなければなりませんのでご注意下さい。
ただし、雇用形態や職種別に対象者を設定することができますので、必ずしもすべての非正規社員の賃上げをしなければならないわけではありません。
また、これまで賃金規定等がなく、新たに賃金規定等を作成して対象となる労働者の賃金を2%以上増額した場合にも支給対象となります。
なお、賃上げ率を計算する場合には最低賃金を上回る部分の増額分しか計上できません。
したがって、これまで最低賃金を下回っていた会社が、賃金規定等の2%以上増額改定を行うことにより最低賃金額となった場合などは支給要件を満たさないということになります。
【支給額】(中小企業のケース)
※< >は生産性向上が認められる場合の額
1)すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
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対象労働者数1~3人:1事業所当たり95,000円<120,000円>
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対象労働者数4~6人:1事業所当たり190,000円<240,000円>
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対象労働者数7~10人:1事業所当たり285,000円<360,000円>
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対象労働者数11~100人:1人当たり28,500円<36,000円>
2)一部の有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合
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対象労働者数1~3人:1事業所当たり47,500円<60,000円>
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対象労働者数4~6人:1事業所当たり95,000円<120,000円>
- 対象労働者数7~10人:1事業所当たり142,500円<180,000円>
- 対象労働者数11~100人:1人当たり14,250円<18,000円>
*1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は100人まで、申請回数は1年度1回のみ
*3%以上増額改定した場合に助成額を加算
- すべての賃金規定等改定:1人当たり14,250円<18,000円>
- 一部の賃金規定等改定:1人当たり7,600円<9,600円>
- 1事業所当たり190,000円<240,000円>
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現在、労働市場では深刻な人手不足が続いています。また、少子高齢化によって将来的にも労働力が不足することは確実です。そのため、パート社員や契約社員といった非正規社員の積極的な活用が求められています。
非正規社員のモチベーションアップを図り、人材の確保・定着を図るためにも、この助成金を積極的に活用されてみてはいかがでしょうか。
(情報更新日:2018-8-1)
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※上記は、公開日(情報更新日)時点での法令・行政情報等に基づく内容となっております。