キャリアアップ助成金は、パート社員や契約社員などの非正規労働者の企業内でのキャリアアップなどを促進するために、正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して支給されるものです。
平成30年度からは、従来あった人材育成コースが人材開発支援助成金に統合されたため、コースが8つから7つになりました。
「正社員化コース」は、パート社員等の有期契約労働者等を正規雇用労働者等(正社員や限定正社員等)に転換した場合に、以下の金額が支給される助成金です。
(1)有期から正規の場合57万円、
(2)有期から無期の場合28.5万円
(3)無期から正規の場合28.5万円
今年度からの変更ポイントは、以下の通りです。
-
有期→正規または有期→無期の転換の場合、対象となる有期契約労働者について、転換または直接雇用される前の雇用された期間が3年以下のものに限る
- 有期→正規または無期→正規の場合、対象となる労働者について、転換または直接雇用した後の賃金が一定の割合(5%)以上増額したものに限る
- 対象となる措置を講じた労働者の上限人数を一事業所あたり20人に拡大する
上記のように、雇用期間や賃金アップの要件が追加される一方で、上限人数が15名から20名に拡大をされたのが今年度の改正ポイントです。
以下、このコースの受給までの流れです。
- キャリアアップ計画の作成・提出
- 就業規則の改定(正社員等への転換規定がない場合)
- 就業規則に基づく正社員等への転換
- 転換後6か月の賃金の支払い
- 支給申請(前項の賃金締切日以降2か月以内)
その他にも転換区分ごとに定められた要件がありますので、詳細については厚生労働省のホームページ等で確認をして下さい。
キャリアアップ助成金は、今年度も大きな予算が確保されており、引き続き多くの事業所で活用されることが期待されています。
その一方で、すでに正規雇用労働者として雇用していた者を有期契約労働者であったかのような虚偽の申請をして、助成金を不正受給する事例なども見受けられます。不正受給をすると厚生労働者や労働局のホームページ上で事業所名や代表者氏名を実名で公表され、また悪質な場合には刑事告発をされることもあります。
また、今年度から賃金アップ要件が加わったことで、労働帳簿類、とりわけ各月の出勤簿や賃金台帳なども厳しくチェックされることが予想されます。正直申しまして、特に中小規模事業者における給与計算は、かなり間違っているケースが多いのですが、そういう意味では、毎月の給与計算のレベルから注意して対応していく必要があるといえるでしょう。
助成金は雇用の安定や職場環境の改善、従業員の能力向上などを目的に支給されるものです。制度の趣旨を理解して、正しく助成金を活用したいところですね。
(情報公開日:2018-5-24)
上記助成金に関するご相談等ございましたら、お電話か以下フォームよりお問合せください。
自社で活用できそうな助成金が一目でわかる!
※上記は、公開日時点での法令・行政情報等に基づく内容となっております。