平成27年度 社会保険適用促進対策の予算案固まる
ようやく厚生労働省も本腰を入れてきたというところなのでしょうか。先日、「平成27年度予算案における国民年金保険料収納対策等について」と称して、国民年金の保険料収納対策の推進及び厚生年金保険の適用促進対策に要する経費に関して、内容が公表されました。それによると、国民年金の保険料収納対策の推進に 159.4億円(平成26年度は139.0億円、平成25年度は18.3億円)、厚生年金保険の適用促進対策に 101.6億円(同99.9億円、同20.2億円)の予算額を計上し、具体的な取組内容が記されています。
企業経営者にとっては、特に関連のあるのは、後者、厚生年金適用促進対策についてかと思います。平成25年度においては、20億円程度でしたので、実にここ1~2年で5倍の予算を組んでいることになるわけで、行政の本気度が伺えます。確かに、実際の現場レベルでも、社会保険未加入事業所への加入指導がかなり厳しくなってきたという声を頻繁に耳にするようになりましたので、それも頷けるところです。
これまでも適用促進業務フローについては公開されておりましたが、今回、具体的な源泉徴収義務者と厚生年金適用事業所との突合による対象整備数まで公表したのは初めてでしょうから、表面的な予算額以上にその意気込みや本気度合をひしひしと感じ、これまで以上に指導が徹底されることは間違いないでしょう。
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さて、こちらの件、法人でありながらまだ社会保険に加入していない事業所は、当然のこととして、既に社会保険に加入している企業の経営者にも他人事ではないということをご存知でしょうか?
「えっ、うちは社会保険にちゃんと入ってるよ、関係ないでしょ!?」
このように考えて、簡単にスルーしてしまうのは要注意です。
全ての社長がというわけではないですが、中小企業の経営者でも複数の法人の代表を兼ねているのは珍しいことではないかと思われます。その場合、大抵は節税上の対策からか、複数法人から分散して役員報酬を受けていたりするケースが多いわけですが、特に従業員がおらず社長・役員のみの法人等については、社会保険が適用されていないという事業所が結構あったりするのです。
(正しくは、それぞれの事業所で社会保険の適用手続きをした上で、対象の被保険者については、2以上事業所勤務届を提出し、それぞれの報酬額に応じて保険料を按分して納付するという形になります。実態としては、管理面が煩雑で、かつこれまであまり厳しく指導されることがなかったこともあり、ルール通りに手続きされているケースは少ないものと思われます。)
今回、厚生労働省が適用促進対象と掲げている事業所(約75万事業所)には、当然ながら、こういった事業所も多く含まれるものと想定されます。
今後は、法令順守を前提として、税務上だけでなく、社会保険の負担も考慮に入れた上で、各法人での報酬をいくらにするか、あるいは1つの法人でまとめて支払うのかなど、役員報酬の支払い方についても、改めて検討する必要が出てくることになるでしょう。
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※公開日時点での法令・情報等に基づいた内容となっております。