厚生労働省は11日、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の企業年金部会を開き、労使が運用リスクを分かち合う新しい企業年金制度の案を示しました。これは企業が一定の給付額を約束する「確定給付年金(DB)」と、社員自らが運用する「確定拠出年金(DC)」の中間型のものです。また、中小企業向けの簡素な年金制度もつくり、公的年金の給付を抑えるなか、それを補完する企業年金を普及させる考えです。
厚労省はこの日、2つの企業年金の特徴を合わせた中間的な制度を提案しました。企業の責任で最低限の給付を保証したうえで、上乗せ分が運用次第で増減したりするというものです。資産の運用を企業主導で行うか、社員の意見も反映するかといった点に違いがあり、最低保証額などは労使で柔軟に決められるようにする見通しです。制度設計を年内に詰め、来年の通常国会で関連法の改正を目指します。
100人以下の中小企業などに限定した簡易型の確定拠出年金も創設する検討に入りました。通常は社員ごとに異なる拠出額を全員月5,000円程度に固定するほか、平均20種類ほどある運用商品を3つに絞り、企業の管理コストを減らすほか、社員も商品選びの手間が少なくなるとしています。